スカイマーク、今後の経営戦略は? [ニュ-ス]
「違約金騒動が落ち着いたら安泰?」
スカイマークがエアバスとのA380型機の契約解除問題について、
約740億円とされる違約金の減額交渉を進めていることが
事実だと認めたのは10月2日。
その翌日には、違約金が200億円から230億円で合意に達するという報道があった。
記事の中には、違約金合意でSKYが経営危機を乗り越えられるとの見方も示されていた。
違約金合意については、SKYは報道当日に合意を否定するコメントを
発表したとされる。
エアバス側も交渉が妥結するまでコメントは出さないとしている。
仮に違約金が200億円から230億円で合意したとしても、
SKYにとってはその先に4つの課題がある。
1.A330で価格維持できるか
2.羽田発着枠は魅力薄
3.お行儀の良いファンド、現れるか
4.利幅見込めない中短距離の国際線
冒頭の言葉は、契約解除問題に関わる関係者を取材していく中で、
SKY以外の人物から聞かれたものだ。
A330で価格維持できるか
10月10日、SKYは9月の利用実績を発表した。
これによると、座席利用率は前年同月比で3.9ポイント下落し、73.1%。
日本の航空会社では高水準だが、低価格運賃を売りとする同社にとって、
余裕が生じるほどではない。
例えば、全席にシートピッチが広い「グリーンシート」を搭載するエアバス
A330-300の導入を6月14日から始めた羽田-福岡線のL/Fは、
74.2%と前年同月より13.7ポイント下落している。
提供座席数は前年同月比29.8%増だったが、搭乗者数は9.7%増にとどまった。
羽田-福岡線は競争が激しい。
日本航空は全クラス本革シートの新仕様機「JALスカイネクスト」を導入し、
元祖プレミアム路線と言えるスターフライヤー(SFJ/7G、9206)も、
全機が他社よりシートピッチが広いA320で運航している。
SKYの8月実績を見ると、福岡線はA330導入で提供座席数が約2割増えたが、
搭乗者数はこれを上回る伸びを示し、座席利用率も上昇した。
一方で9月は、最繁忙期を過ぎたこともあってか、搭乗者数が伸び悩んだ。
10-12月期は航空会社にとって一番厳しい時期である反面、
SKYでは福岡線の機材を12月からA330に統一する。
機材を統一する運航コスト削減メリットはあるが、座席利用率を上げるとなれば
安売りに陥りかねない。
西久保愼一社長が目指す「良いシートを安く提供する」が、
他社との差別化では機能する可能性がある一方で、良いシートを導入しても
安売り競争に巻き込まれる可能性は消えない。
SKYは10月26日からの冬ダイヤで、成田撤退や羽田路線の見直しを実施する。
羽田-米子線が運休することで、浮いた発着枠福岡線と神戸線に
1往復ずつ転用。
福岡線は1日11往復、神戸線は1日7往復に増便する。
同時に実施するのが運賃の見直しだ。最大の値上げ幅は神戸-札幌線で、
10月1日から25日の運賃と比べて69.3%値上がりする。
競争が激しい羽田-福岡線は2万7000円で5100円(23.3%)値上げ、
羽田-札幌線は2万2000円で1100円(5.3%)値上げとなる。
JALや全日本空輸(ANA/NH)の通常期の羽田-福岡線は4万1100円、
羽田-札幌線は3万7500円なので、大手2社と比べて半値程度の水準になっている。
「これまで安売りしすぎていたところもあった」(SKY幹部)という運賃水準を、
大手の半値で利用者に定着させられるかが、収益改善の上で課題の一つとなる。
羽田発着枠は魅力薄
SKYは機材面で魅力がないわけでも、努力を怠っているわけでもない。
SKYが安泰ではないと関係者が異口同音に不安視するもっとも大きな要素が、
無借金・無資産経営だ。
企業を無借金で経営するのが難しいことは言うまでもないが、
「銀行と融資面で付き合いがないに等しいのは、資金難の時に厳しい」と、
現在の状況では不利な条件となってしまう。
そして、高額資産を持たないノンアセット経営も、担保を設定できないことになり、
やはり資金調達で不利になる。
そこで出てくるのが、買収や出資の話だ。
これまで新規航空会社が窮地に陥る度に、出資してきたのはANAホールディングス(9202)だが、
今のところは静観の構え。
伊東信一郎社長がJALとの格差を「まだまだ大きい」と表現することから、
可能性はゼロではない。
一方のJALは、2016年まで国土交通省が事業を監視することになっており、
もしSKYに手を出そうものなら、官邸や与党・自由民主党から物言いがつくのは、
これまでの経緯からも容易に想像できる。
ANAもJALもSKYの財政状況から、すぐには手を出す状況にはない。
両社とも相手が手を出すなら黙っていない、
というにらみ合いが続いている。
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スカイマークがエアバスとのA380型機の契約解除問題について、
約740億円とされる違約金の減額交渉を進めていることが
事実だと認めたのは10月2日。
その翌日には、違約金が200億円から230億円で合意に達するという報道があった。
記事の中には、違約金合意でSKYが経営危機を乗り越えられるとの見方も示されていた。
違約金合意については、SKYは報道当日に合意を否定するコメントを
発表したとされる。
エアバス側も交渉が妥結するまでコメントは出さないとしている。
仮に違約金が200億円から230億円で合意したとしても、
SKYにとってはその先に4つの課題がある。
1.A330で価格維持できるか
2.羽田発着枠は魅力薄
3.お行儀の良いファンド、現れるか
4.利幅見込めない中短距離の国際線
冒頭の言葉は、契約解除問題に関わる関係者を取材していく中で、
SKY以外の人物から聞かれたものだ。
A330で価格維持できるか
10月10日、SKYは9月の利用実績を発表した。
これによると、座席利用率は前年同月比で3.9ポイント下落し、73.1%。
日本の航空会社では高水準だが、低価格運賃を売りとする同社にとって、
余裕が生じるほどではない。
例えば、全席にシートピッチが広い「グリーンシート」を搭載するエアバス
A330-300の導入を6月14日から始めた羽田-福岡線のL/Fは、
74.2%と前年同月より13.7ポイント下落している。
提供座席数は前年同月比29.8%増だったが、搭乗者数は9.7%増にとどまった。
羽田-福岡線は競争が激しい。
日本航空は全クラス本革シートの新仕様機「JALスカイネクスト」を導入し、
元祖プレミアム路線と言えるスターフライヤー(SFJ/7G、9206)も、
全機が他社よりシートピッチが広いA320で運航している。
SKYの8月実績を見ると、福岡線はA330導入で提供座席数が約2割増えたが、
搭乗者数はこれを上回る伸びを示し、座席利用率も上昇した。
一方で9月は、最繁忙期を過ぎたこともあってか、搭乗者数が伸び悩んだ。
10-12月期は航空会社にとって一番厳しい時期である反面、
SKYでは福岡線の機材を12月からA330に統一する。
機材を統一する運航コスト削減メリットはあるが、座席利用率を上げるとなれば
安売りに陥りかねない。
西久保愼一社長が目指す「良いシートを安く提供する」が、
他社との差別化では機能する可能性がある一方で、良いシートを導入しても
安売り競争に巻き込まれる可能性は消えない。
SKYは10月26日からの冬ダイヤで、成田撤退や羽田路線の見直しを実施する。
羽田-米子線が運休することで、浮いた発着枠福岡線と神戸線に
1往復ずつ転用。
福岡線は1日11往復、神戸線は1日7往復に増便する。
同時に実施するのが運賃の見直しだ。最大の値上げ幅は神戸-札幌線で、
10月1日から25日の運賃と比べて69.3%値上がりする。
競争が激しい羽田-福岡線は2万7000円で5100円(23.3%)値上げ、
羽田-札幌線は2万2000円で1100円(5.3%)値上げとなる。
JALや全日本空輸(ANA/NH)の通常期の羽田-福岡線は4万1100円、
羽田-札幌線は3万7500円なので、大手2社と比べて半値程度の水準になっている。
「これまで安売りしすぎていたところもあった」(SKY幹部)という運賃水準を、
大手の半値で利用者に定着させられるかが、収益改善の上で課題の一つとなる。
羽田発着枠は魅力薄
SKYは機材面で魅力がないわけでも、努力を怠っているわけでもない。
SKYが安泰ではないと関係者が異口同音に不安視するもっとも大きな要素が、
無借金・無資産経営だ。
企業を無借金で経営するのが難しいことは言うまでもないが、
「銀行と融資面で付き合いがないに等しいのは、資金難の時に厳しい」と、
現在の状況では不利な条件となってしまう。
そして、高額資産を持たないノンアセット経営も、担保を設定できないことになり、
やはり資金調達で不利になる。
そこで出てくるのが、買収や出資の話だ。
これまで新規航空会社が窮地に陥る度に、出資してきたのはANAホールディングス(9202)だが、
今のところは静観の構え。
伊東信一郎社長がJALとの格差を「まだまだ大きい」と表現することから、
可能性はゼロではない。
一方のJALは、2016年まで国土交通省が事業を監視することになっており、
もしSKYに手を出そうものなら、官邸や与党・自由民主党から物言いがつくのは、
これまでの経緯からも容易に想像できる。
ANAもJALもSKYの財政状況から、すぐには手を出す状況にはない。
両社とも相手が手を出すなら黙っていない、
というにらみ合いが続いている。
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